One Fell Swoop / Steve Lacy  



  スティーヴ・レイシーの本作品は、バリトン&アルト・サックスのチャールス・タイラーに、レギュラーのリズム隊というカルテット。時に優しく、時に躍動的に響くレイシーのソプラノ・サックスと、低く太く厚いタイラーのバリトン・サックス2人の自由奔放なプレイが繰り広げられています。曲目はレイシーのオリジナル4曲と、タイラー2曲が加わり、あとセロニアス・モンクが1曲となっています。

1曲目〈ワン・フェル・スウープ:テイク2〉、レイシーとタイラーの2管サックスが反復フレーズのテーマを奏でる。レイシーはスリリングで疾走感溢れ、激しいプレイを展開していく。タイラーは迫力あるバリトン・サックスの重厚なソロ、オリヴァー・ジョンソンの豪快に冴えわたるドラム・プレイと続き、テーマへ戻っていく。



2曲目〈オード・トゥ・レディ・デイ〉は、チャールス・タイラーの作曲。ジャン・ジャック・アヴネルのベース音から始まるこの曲ではレイシーは参加していない。タイラーはアルト・サックスで伸びやかに、心のこもった味のある冴えたアドリブを聴かせる。続くベースのアヴネルは落ち着いたムードで淡々としたプレイを繰り広げています。

3曲目〈ウイケッツ〉、2管テーマの後、レイシーはスロー・テンポで、滑らかで優しいソプラノ・サックスの音色が実に心地よい。タイラーのバリトン・サックスは暖かい低音の響きで、気持ちのいいソロを聴かせています。アヴネルの濃厚なベース・プレイと展開しています。
youtube.com/watch?v=cSK8up2xOpE

4曲目〈キープセイク〉は、哀愁漂う旋律。レイシーのまろやかな透明感溢れる表情豊かなソプラノ・サックスと、タイラーの華麗で、柔らかな深みのあるバリトン・サックスの演奏は、アヴネルのしっとりとしたアルコでのプレイを加えた悲哀的とも言える音の緊張感が素晴らしいです。
youtube.com/watch?v=om38V4rHlg0

5曲目〈ザ・アドベンチャーズ・オブ〉は、再びタイラーの作曲。活気のあるテーマで始まり、タイラーはバリトン・サックスで豪快なソロを繰り広げ、レイシーは伸びやかな澄み切ったプレイ、アヴネルのテンポよく重厚なベース、ジョンソンのアグレッシブなプレイと続いていきます。



6曲目〈フライディ・ザ・サーティーンス〉は、モンクの作曲。バリトン・サックスがリズムをとり、レイシーが軽快なメロディーを吹く。レイシーは滑らかでストレートな演奏を展開、タイラーはバリトン・サックスを野太くブロウさせる。
youtube.com/watch?v=vEvzy0LwuLU

7曲目〈ワン・フェル・スウープ:テイク1〉、冒頭と同じ反復フレーズで始まり、レイシーはここでは速いテンポで、特徴的なアドリブを鋭く放つ。タイラーは高速のバリトン・サックスで切れ味鋭いブロウ。ジョンソンの激烈なドラミングと展開しています。
youtube.com/watch?v=Kcr009maPQM

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 Recorded. June 13 - 15, 1986. Silkheart.

 Steve Lacy soprano sax
 Charles Tyler baritone sax, alto sax
 Jean-Jacques Avenel bass
 Oliver Johnson drums

 1. One Fell Swoop (Take2) 7:47
 2. Ode To Lady Day 7:30
 3. Wickets 9:41
 4. Keepsake 8:39
 5. The Adventures Of 7:12
 6. Friday The Thirteenth 4:49
 7. One Fell Swoop (Take1) 7:07